AI FAQ生成ツールの比較と選び方|問い合わせ履歴・マニュアルからFAQを作る法人向けツール【2026年版】
AI FAQ生成ツールは、問い合わせ履歴やマニュアルなどの資料から、AIが質問と回答のペアを自動で作り、FAQの更新を助けるツールである。選ぶときは、①何を元にFAQを作れるか、②公開前に人が確認・承認できるか、③既存のFAQの見直しや更新を助けるか、④作ったFAQをどこで、誰に向けて使うか、の4点を比べる。本記事では、Zendesk、Helpfeel、PKSHA FAQ、chai+の4製品の機能を各社の公式情報で整理し、ナレッジベース構築の観点から選び方を解説する。
FAQ自動生成の基本的な仕組みは「FAQ自動生成とは?AIでFAQ作成・更新を効率化する方法」で解説している。本記事は、ツールを比べて選ぶ段階の担当者に向けた内容である。
この記事の要点
AI FAQ生成ツールとは
AI FAQ生成ツールは、資料や問い合わせの記録を読み込み、「よく聞かれる質問」と「その回答」の組を自動で作るツールである。人の手でFAQを作る場合、聞かれそうな質問を洗い出し、回答を書き、資料が変わるたびに直す作業が担当者に集中する。生成AIでこの下書きを作ることで、担当者は内容の確認と判断に時間を使えるようになる。
なお、「FAQを作る機能」「作ったFAQを探しやすくする検索機能」「FAQを使ってチャットで自動回答する機能」は、それぞれ別の機能である。製品によって力を入れている部分が違うため、自社がどの工程を効率化したいのかを先に決めておくと比べやすい。
AI FAQ生成ツールを選ぶ5つの確認点
FAQを作ってから更新するまでの流れに沿って、確認したい点を整理する。
| 1. 何を元にFAQを作れるか
問い合わせ履歴(チケットやメール、チャットの記録)から作るのか、マニュアルや規程などの資料から作るのかで、できあがるFAQの性格が変わる。自社で使いたいデータに対応しているか、ファイル形式やデータの期間に制限がないかを確認する。
| 2. 回答に根拠が付くか
生成された回答が、どの資料のどこを元にしているかがわかれば、確認する担当者も原典をたどって正しさを確かめられる。
| 3. 公開前に人が確認・承認できるか
最も大切な確認点である。生成AIは、もっともらしい誤りを書くことがある。AIが作ったFAQを下書きとして保存し、担当者が確認・編集してから公開できる仕組みがあるかを確かめる。
| 4. どこで、誰に向けて公開するか
ヘルプセンターのWebページとして公開するのか、チャットボットで即答させるのか、社内向けと社外向けを分けて公開するのかによって、合う製品が変わる。
| 5. 見直しと更新を助けるか
FAQは作って終わりではない。既存のFAQで解決できていない質問、重複したFAQ、内容が古くなったFAQを見つける機能があるかを確認する。「FAQの自動更新」をうたう場合も、何を元に、どこまで自動で、人の確認がどこに入るのかを確かめておく。
法人向けAI FAQ生成ツール4製品の比較
各社の公式ページで確認できた範囲を、上の確認点に沿ってまとめる。公式ページで確認できなかった項目は「公式ページに記載なし」とした。機能や対象プランは変わることがあるため、導入前に各社へ最新の情報を確認してほしい。
| 比較項目 | Zendesk (ナレッジビルダー) |
Helpfeel (記事ドラフト作成AI) |
PKSHA FAQ (生成AIによる運用支援) |
chai+ (FAQボット・FAQ自動生成) |
|---|---|---|---|---|
| 生成元のデータ | 過去90日以内に作成された解決済み・終了のチケット(Webフォーム・メール)、事業内容の説明、WebサイトのURL | 問い合わせ内容、問い合わせログ | 社内ドキュメント、蓄積されたデータ | Word・PDF・PowerPoint・Excel・CSV・TXT・HTMLなどのファイル、WebサイトのURL(マニュアル、規程、議事録、問い合わせ履歴など) |
| 公開前の人の確認 | 下書きとして保存され、管理者・権限のあるエージェントが公開前に確認・編集できる | 非公開のタグを外さない限り公開されない | 公式ページに記載なし | 管理者が確認・編集・承認したQ&Aだけを公開 |
| 回答の根拠 | 公式ページに記載なし | 公式ページに記載なし | 公式ページに記載なし | 回答に根拠となる引用箇所が付く |
| 見直し・更新の支援 | 新しいヘルプセンターを作る機能で、既存の構造を強化するものではないと案内されている | 問い合わせログから足りない記事案を生成、既存のFAQと照合して改善点を特定 | 既存のFAQとの重複確認やカテゴライズを自動化、改善すべきFAQを提示 | 問い合わせログでよく聞かれる質問や答えられなかった質問を確認し、資料を更新してFAQを再生成 |
| FAQの使われ方 | ヘルプセンターの記事 | 検索型のFAQ | FAQシステム | FAQボットで候補の質問を選んで即答。FAQにない質問はRAGが資料を検索して回答。社内向け・社外向けで公開範囲を分けられる |
| 対象プラン | Suite(Growth以上)、またはSupportとGuide(Professional・Enterprise) | 記事ドラフト機能は初期費用に含まれると案内(詳細は要問い合わせ) | 公式ページに記載なし | Ultra版・Enterprise版 |
出典:各社の公式ページ(2026年10月29日に確認)。Zendesk「ナレッジビルダーの一般公開」「チケットデータと生成AIを活用したヘルプセンターコンテンツの作成」、Helpfeel、PKSHA FAQ、chai+ FAQボット。「公式ページに記載なし」は、機能がないことを意味するものではない。
各製品の特徴
| Zendesk(ナレッジビルダー)
カスタマーサービス基盤のZendeskが、2025年11月20日に一般公開した機能である。過去90日以内の解決済み・終了のチケットや、事業内容の説明、WebサイトのURLをもとに、生成AIがヘルプセンターの記事と構成を作る。チケット内の個人を特定できる情報は自動的に墨消しされると案内されている。生成された記事は下書きとして保存され、公開前に確認・編集できる。すでにZendeskで問い合わせを管理していて、問い合わせ履歴からヘルプセンターを立ち上げたい企業に向いている。一方、既存のヘルプセンターの構造を強化するものではなく、既存の内容と重なるセクションが作られる場合があると案内されている点には注意したい。
| Helpfeel(記事ドラフト作成AI)
検索型FAQシステムのHelpfeelは、問い合わせ内容をもとに記事案を自動で作る機能を備えている。分析機能では、問い合わせログから足りない記事案を作り、既存のFAQと照合して改善すべき記事を見つけられると案内されている。作られた記事は、非公開のタグを外さない限り公開されない。問い合わせの記録をもとに、検索型FAQを継続的に充実させたい企業に向いている。
| PKSHA FAQ(生成AIによる運用支援)
FAQシステムのPKSHA FAQは、社内ドキュメントや蓄積されたデータからFAQを自動で作り、既存のFAQとの重複確認やカテゴライズも自動化すると案内している。検索ヒット率やカテゴリー別の解決率を把握し、優先して改善すべきFAQを示す分析機能もある。既存のFAQが多く、重複や分類の整理に手間がかかっている企業に向いている。
| chai+(FAQボット・FAQ自動生成)
本記事を掲載しているデフィデ株式会社のサービスである。マニュアルや規程、問い合わせ履歴などの資料から、AIが質問と回答を根拠の引用箇所つきで作り、管理者が確認・承認したQ&Aだけを公開する。利用者はキーワードを入れて候補の質問を選ぶだけで、承認済みの回答をすぐに受け取れる。FAQにない質問は、RAG(検索拡張生成)が登録済みの資料を検索して回答する。この「資料から生成し、人が承認して登録し、候補から選んで即答する」仕組みは特許(第7823852号)を取得している。チャットボットとして社内外の問い合わせに即答させたい企業に向いている。FAQ自動生成はUltra版・Enterprise版での提供となる。
問い合わせ履歴とマニュアル、どちらからFAQを作るか
生成元のデータによって、できあがるFAQは変わる。
| 問い合わせ履歴の活用
実際に聞かれた質問から作るため、利用者が使う言い回しのままFAQにできる。一方で、問い合わせの記録には氏名や連絡先などの個人情報が含まれることが多い。個人情報を取り除く仕組みがあるか、取り除いてから登録する運用にするかを先に決めておく。また、過去の回答が常に正しいとは限らないため、回答の根拠は規程やマニュアルで確かめる。
| マニュアルからのFAQ作成
まだ問い合わせが来ていない内容も含めて、資料に書かれている範囲を網羅的にFAQにできる。回答の根拠の箇所もはっきりする。ただし、古い版や重複した資料が混ざっていると、矛盾したFAQができてしまうため、登録する前に最新版を選んでおく。資料の整え方は「RAG・AIチャットボットの回答精度が低い原因と改善方法」でも解説している。
両方を使えば、すでに聞かれている質問と、これから聞かれそうな質問の両方をカバーできる。最初はマニュアルからFAQを作って公開し、運用しながら問い合わせの記録で足りないFAQを補う、という進め方もある。
FAQの自動更新とナレッジベース構築の進め方
AI FAQ生成ツールを入れても、FAQを育てる流れがなければ、ナレッジベースは少しずつ古くなる。次の流れを決めておく。
- 見つける:FAQで解決しなかった質問、答えられなかった質問、よく聞かれる質問を定期的に確認する
- 直す:足りないFAQは資料を足して生成し、古いFAQは元の資料を更新して作り直す
- 確かめる:生成されたFAQは、担当部署が確認・承認してから公開する
- 決めておく:制度や製品が変わったときに、誰が、いつ資料とFAQを更新するか
社内向けのナレッジベースの設計(資料の棚卸し、分類、権限の分け方)は「社内FAQ自動化のナレッジベース完全ガイド」で詳しく解説している。
カスタマーサポート自動化で注意したいこと
| AIが作ったFAQをそのまま公開しない
FAQは会社の公式な回答として読まれる。料金、契約、安全に関わる内容は特に、担当部署が確認してから公開する。
| 登録したデータの扱いを確かめる
問い合わせの記録や社内資料をツールに登録する前に、データがAIの学習に使われないか、どこに保存されるかを確認する。chai+では、登録した資料や入力データがAIの学習に使われることはなく、二次利用もされない。
| FAQで答えられない質問の受け皿を作る
どれだけFAQを増やしても、すべての質問には答えられない。FAQにない質問を、資料の検索(RAG)や有人の窓口へどうつなぐかまで含めて設計すると、利用者が行き止まりにならない。
まとめ:AI FAQ生成ツールは「元データ・人の確認・更新・使い方」で選ぶ
AI FAQ生成ツールは、問い合わせ履歴やマニュアルからFAQの下書きを作り、更新を助けるツールである。選ぶときは、何を元に作れるか、公開前に人が確認・承認できるか、既存のFAQの見直しを助けるか、作ったFAQをヘルプセンターで使うのかチャットボットで即答させるのか、を比べる。Zendeskはチケットからヘルプセンターを立ち上げる用途、Helpfeelは問い合わせの記録をもとに検索型FAQを充実させる用途、PKSHA FAQは既存FAQの重複や分類を整理する用途、chai+は資料から作った承認済みのFAQをチャットボットで即答させる用途に、それぞれ強みがある。
chai+のFAQ自動生成の詳細はFAQボットのページ、仕組みの詳しい解説は「特許で読み解くAI検索技術「FAQ自動生成」とは?」で紹介している。
AI FAQ生成ツールに関するよくある質問
Q. AI FAQ生成ツールとは何ですか?
A. 問い合わせ履歴やマニュアルなどの資料から、AIが質問と回答のペアを自動で作り、FAQの作成や更新を助けるツールです。担当者は一からFAQを書く代わりに、AIが作った下書きを確認・編集して公開します。
Q. AI FAQ生成ツールを選ぶときに、最も大切な確認点は何ですか?
A. AIが作ったFAQを、公開前に人が確認・承認できるかどうかです。生成AIはもっともらしい誤りを書くことがあるため、下書きとして保存し、担当者が確認してから公開できる仕組みを選びます。
Q. 問い合わせ履歴とマニュアル、どちらからFAQを作るのがよいですか?
A. 問い合わせ履歴からは実際に聞かれた質問を利用者の言い回しのまま作れ、マニュアルからはまだ聞かれていない質問まで根拠つきで作れます。両方を使うと、聞かれている質問とこれから聞かれそうな質問の両方をカバーできます。問い合わせ履歴を使う場合は、個人情報の扱いを先に決めてください。
Q. FAQの自動更新はどこまでできますか?
A. 製品によって異なります。問い合わせの記録から足りないFAQを提案する機能、既存のFAQとの重複を確認する機能、資料を更新してFAQを作り直す機能などがあります。いずれの場合も、公開する前に人が確認する流れを残しておくことをおすすめします。
Q. FAQに載っていない質問にはどう対応すればよいですか?
A. 資料を検索して回答するRAGや、有人の窓口へつなぐ流れを用意しておきます。chai+では、承認済みのFAQに該当しない質問は、RAGが登録済みの資料を検索し、根拠となる箇所を示して回答します。
Q. chai+のFAQ自動生成はどのプランで使えますか?
A. Ultra版とEnterprise版で利用できます。Word・PDF・PowerPoint・Excel・CSV・TXT・HTMLなどのファイルやWebサイトのURLからFAQを作り、管理者が承認したQ&Aだけを公開します。
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