DX推進のために企業が注目すべきポイント

前回までの記事で紹介したテーマ「AIエージェントの最新トレンドとDXへの影響」の最終回です。
前回の記事:chai+が目指すAIエージェントの方向性
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する立場として、AIエージェント活用に今後注目すべきポイントを弊社なりに整理します。すなわち、技術トレンドに振り回されず、自社にとって有益な形でAIを取り入れるための視点です。
技術トレンドに振り回されないようにと思いながらも、2025年3月19日に米国ラスベガスで開催されたNVIDIA GTC2025のJensen Huang氏の基調講演は、とても興味深く、今すぐにでも飛びつきたいトピックばかりでした。AIがとてつもない速さでの進歩しており、情報をキャッチアップするだけでも大変な時代です。
基調講演はとても参考になるので、視聴されることをお勧めします。
引用:https://www.nvidia.com/ja-jp/gtc/keynote/
◆ DX推進の成功ポイント:企業が注目すべき5つの視点
さて、DX推進のために企業が注目すべきポイントに戻りまして、以下幾つか例をご紹介します。
スモールスタート:小さく始め、必要に応じて拡大
最初から何でもできる理想像のAIを目指すのではなく、まずは特定の用途に絞ったシンプルな導入から始めましょう。Anthropic社も、可能な限りシンプルな日常の業務の解決策から着手し、必要になった時だけ段階的に範囲を拡大したり、機能を高度化したりすることを推奨しています。例えば、まずは社内FAQボットを導入し、その効果を測定してから徐々に他の業務プロセスの自動化に広げるなどというアプローチです。
API連携:データとシステムの整備・連携
AIエージェントに賢く働いてもらうには、キーとなるデータや繋ぐべきシステムが重要です。社内文書のデジタル化やナレッジの集約、基幹システムのAPI公開など、AIがアクセスできる情報源を増やし、連携の土台を作ることに注力しましょう。そうすることで、将来的にはAIエージェントを通じて社内の様々なツールを横断して業務を処理できるようになります。
利用規約の整備:セキュリティとガバナンスの確立
AIエージェントには機密情報も扱わせる可能性があるため、情報セキュリティ対策は一段と重要です。社内でも役割や階層に応じたアクセス権限の管理、データの匿名化、利用ログの監査など、人間以上に厳格なルール設定を検討することをお勧めします。組織であれば、情報セキュリティのISO37001/ISMSなどにAIの利用ルールを明確化すると良いでしょう。
加えて、生成AIがいわゆるハルシネーションなどといった誤った回答の生成や判断をしないよう、人によるレビュー体制やチェックポイントを用意しておくこともDX推進上のリスク管理として不可欠です。
組織全体のAIリテラシー向上:人材と社内体制の準備
AIエージェントを活用するには、それを使いこなす人材や運用ルールも必要です。現場の従業員にとって使いやすいインターフェースの提供や、AIの提案を最終確認する役割の配置など、人とAIが協働するための体制づくりを意識しましょう。加えて、社員へのトレーニングやリテラシー向上施策も有効です。「AIに何を任せて何を自分で判断すべきか」を社員一人ひとりが理解することで、AIエージェントはより有効なパートナーになります。
ラーニングサイクル:継続的な評価と改善
AIを導入して終わりではなく、AIエージェントの成果を計測しフィードバックしていく仕組みも大切です。例えば問い合わせ対応なら人手を介さずに問題を解消した解決率や顧客満足度。社内業務なら業務プロセスの処理時間の短縮率など、評価基準であるKPIを設定して定期的にレビューしましょう。さらにその結果をもとに、AIの知識ベースや学習データをアップデートしたり、プロンプトを調整したりします。さらに、必要であれば人の介入基準や判断基準を見直すこともあります。PDCAサイクルを回すイメージでAIエージェントを育てていくことで、DXの効果を最大化できます。
◆ AIエージェントとDX推進:成功の鍵は目的の明確化と段階的導入
以上、AIエージェントの最新動向とそのビジネスへの影響、そしてDX推進のポイントについて解説しました。AIエージェントは急速に進化していますが、大切なのは自社の目的に照らして「どこまで任せるか」「何を実現したいか」を見極めることです。すなわち、自社の業務のあるべき姿、目標を明確にして現状とのギャップを整理し、ギャップ解決のためにどこまでAIに任せるかを考える事が必要です。
まずは身近な業務から試験的に活用し、成功体験を積み重ねながら段階的に範囲を広げていくと良いでしょう。DX推進担当者として、AIエージェントを味方につけ、より創造的な業務にリソースを振り向けられる未来を描いてみてください。きっと業務改革の大きな力になるはずです。
前回の記事:chai+が目指すAIエージェントの方向性