──AWS・Meta Llama・Azure・Google、4大プラットフォームを経営者目線で徹底比較──
「AI活用」という言葉が、経営の現場で飛び交っています。
しかし多くの経営者・DX担当者が直面するのは、こんな現実です。
▶ ChatGPTやCopilotを試してみたが、社内の機密情報を入力できず活用が進まない
▶ ベンダーに相談したら、初期費用2,000万円〜という提案が来て腰が引けた
▶ 「DX推進」の掛け声はあるが、具体的に何をどこから始めればいいかわからない
▶ 競合他社がAIで業務効率化を進めていると聞き、危機感だけが募っている
多くの弊社クライアントからも同様にご相談いただきます。
そこで、このページでは、こうした課題を抱える経営者・管理職・DX推進担当者の方に向けて、
「自社オリジナル生成AIの作り方と、プラットフォーム選びの正解」を難しい専門用語を使わず、わかりやすく解説します。
汎用AIとの決定的な違い
まず、大前提として押さえてください。
→ 誰でも使えるコンビニのようなAI
→ あなたの会社のデータを知らない
→ 入力した情報が外部サーバーに送られる可能性がある
→ ライバル会社も同じAIを使っている
→ あなたの会社だけのために作られたAI
→ 自社の規定・顧客情報・過去のデータをすべて学習済み
→ データは自社管理環境の外に出ない
→ 競合他社には真似できない「知的資産」になる
具体的には、こんな活用が今すぐ実現できます
✔ 社内規定・FAQ・マニュアルを学習した「24時間対応の社内Q&Aボット」
✔ 過去3年分の提案書を学習した「営業文書自動生成ツール」
✔ 経営数値を毎日読み込む「AIによる自動経営レポート」
✔ 顧客問い合わせの8割を自動処理する「カスタマーサポートAI」
✔ 会議議事録・契約書レビューの自動化
そして、2026年時点では、この「自社専用AI」はもはや大企業だけの特権ではありません。
AWS・Meta Llama・Azure・Google、あなたの会社に合うのはどれ?
自社専用AIを構築する主なプラットフォームは、現在4つが主流です。
それぞれの特徴を、経営判断に必要な指標で整理しました。
難易度:★☆☆(簡単)
PoC検証まで:数日〜1週間
本番稼働まで:1〜4週間
特徴:API一本で複数のAIモデルを切り替え可能。
すでにAWSを使っている企業は追加設定がほぼ不要。
難易度:★☆☆(簡単)
PoC検証まで:数日〜1週間
本番稼働まで:1〜4週間
特徴:Microsoft 365・Teamsとの連携が強力。
Office環境の企業には導入障壁がほぼない。
難易度:★★☆(やや簡単)
PoC検証まで:1週間程度
本番稼働まで:2〜5週間
特徴:Google WorkspaceやBigQueryとの連携が得意。
難易度:★★★(専門知識が必要)
PoC検証まで:2〜4週間
本番稼働まで:2〜6ヶ月
特徴:完全自社管理。高い自由度と引き換えに、ML(機械学習)エンジニアやインフラ担当者が必要。
▶ 結論:導入スピード重視なら AWS Bedrock または Azure OpenAI が最速。
初期費用:0円
月額ランニングコスト:従量課金(使った分だけ)
代表的な費用感:Claude Haikuモデル使用時、
入力100万トークンあたり約39円(=$0.25/1Mトークン)
大規模利用時:プロビジョニングプランで最大72%割引あり
初期費用:0円
月額ランニングコスト:従量課金
代表的な費用感:GPT-4oモデル使用時、
入力100万トークンあたり約775円(=$5/1Mトークン)
※繰り返しの入力には90%キャッシュ割引あり
初期費用:0円
月額ランニングコスト:従量課金
代表的な費用感:Gemini Flashは最も安価なクラスの一つ
初期費用:GPU機材代として310万円〜3,875万円以上($20,000〜$250,000)
月額ランニングコスト:
小規模(7B〜13Bモデル):約93,000円〜465,000円/月
中規模(70Bモデル):約232万円〜620万円/月
電気代・冷却費・エンジニア人件費は別途
※月間処理量が「200万トークン/日」を超えると
クラウド型より割安になる(Aimprosoft社調査、2025年)
▶ 結論:中小・中堅企業なら AWS Bedrock が最もコストパフォーマンスが高い。
大量処理かつデータの完全自社管理が必須な場合は Meta Llama の検討価値あり。
データの扱い:AWSクラウド内(東京リージョンあり)
外部流出リスク:低い(Anthropic等に渡らない設計)
認証規格:GDPR・HIPAA・PCI DSS対応
データの扱い:Azureクラウド内(東日本リージョンあり)
外部流出リスク:低い
認証規格:最も豊富(HIPAA・GDPR・SOC2等)
データの扱い:Googleクラウド内(東京リージョンあり)
外部流出リスク:低い
認証規格:GDPR・HIPAA等
データの扱い:完全自社環境(外部に一切出ない)
外部流出リスク:最低(自社管理)
認証規格:自社で対応が必要
▶ 重要データ:Kong社「2025年エンタープライズAI調査」によれば、
企業のAI導入を阻む最大の障壁は「データセキュリティへの懸念(44%)」。
クラウド型でも東京リージョン+専用設計で対応可能。
選べるAIモデル数:25種類以上(Claude・Llama・Titan・Mistral等)
ファインチューニング:可(Amazon SageMakerで対応)
ベンダーロックイン:低い(複数モデルを同一APIで利用可能)
RAG(自社データ連携):◎ Knowledge Bases機能が標準搭載
選べるAIモデル:GPT-4o・GPT-5等OpenAI系が中心
ファインチューニング:可(一部モデル)
ベンダーロックイン:高い(OpenAI依存)
RAG:◎ Azure AI Searchと強力に連携
選べるAIモデル:Gemini・PaLM・Llama等
ファインチューニング:可
ベンダーロックイン:中程度
RAG:◎ Vertex AI Searchと連携
選べるAIモデル:完全自由(Llama 4等オープンソース)
ファインチューニング:◎ 完全自由(LoRA等の最新手法対応)
ベンダーロックイン:なし
RAG:△ 自前で構築が必要
▶ 結論:「複数モデルを試しながら最適を探したい」企業にはAWS Bedrockが最適。
3つの質問で判断できる「選定チャート」
以下の3つの質問に答えるだけで、最適解が見えてきます。
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Q1. 現在、AWSを使っている(またはこれから使う予定がある)か?
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YES → AWS Bedrock が最有力候補
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Q2. Microsoft 365(Word・Teams・Outlook等)が社内の主要ツールか?
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YES → Azure OpenAI が最有力候補
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Q3. 社内データを一切クラウドに出せない(医療・金融・防衛等)か?
または、月間AI処理量が非常に大きく、徹底的なコスト削減が必要か?
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YES → Meta Llama 自社ホストを検討
上記のいずれにも当てはまらない場合や、
「まずはスモールスタートで試したい」企業にも、
AWS Bedrock が最もバランスの取れた選択肢です。
様子見のコストを、数字で知ってください
「もう少し様子を見てから」という判断が、実は最大のリスクになっています。
▶ 世界のAI API市場のコストは2025年に84億ドル(約1兆3,000億円)規模に到達。
企業のAI支出は2年でほぼ倍増している。
(出典:Kong Inc.「State of AI Report 2025」)
▶ 現在AIに積極投資している企業の72%が、今後さらにAI予算を増加する計画。
つまり先行企業との差は、時間とともに「加速度的に」広がっていく。
(出典:Kong Inc.「State of AI Report 2025」)
▶ 生成AIを活用した企業では、従業員の生産性が平均30〜40%向上したとの報告もある。
(出典:McKinsey & Company「The economic potential of generative AI」)
▶ AI導入の最大の障壁が「データプライバシーへの懸念(44%)」だとしても、
自社ホスト型・プライベートクラウド型のAI基盤はその問題を解決済み。
「セキュリティが不安だから導入しない」という理由は、
2025年においてはすでに技術的に解消されている。
(出典:Kong Inc.「State of AI Report 2025」)
▶ Amazonによれば、AWS Savings Planを活用すれば
オンデマンド価格から最大72%のコスト削減が可能。
つまり「コストが高い」という懸念も、設計次第で大幅に抑えられる。
(出典:AWS公式ドキュメント)
競合他社が「自社専用AI」を持ち始めると、
その差を埋めるにはさらに大きなコストと時間が必要になります。
「大企業のための技術」だった生成AIは、今や「導入意思のある経営者のための武器」になっています。
まず取るべきアクションは、たったの3ステップです。
STEP 1:「自社で使えるAI」のイメージを持つ
→ 本ページのその1〜2で紹介した活用例を参考に、
自社の業務で「どこにAIを使えるか」をリストアップしてみてください。
STEP 2:最適なプラットフォームを選ぶ
→ その3の3つの質問を使って、自社に合う選択肢を絞り込んでください。
STEP 3:小さく試して、早く動く
→ AWS Bedrock・Azure OpenAIはどちらも初期費用ゼロ・従量課金制。
最小限のリスクで、今週中に試験的な導入が可能です。
完璧な計画を立てて大規模に動くより、
まず「小さく試す」ことが、AI時代の経営判断の鉄則です。
| 比較指標 | AWS Bedrock | Meta Llama | Azure OpenAI | Google Vertex |
| 導入しやすさ | ★★★★★ | ★★ | ★★★★★ | ★★★★ |
| 初期費用(目安) | 0円 | 310万〜 | 0円 | 0円 |
| 月額コスト 小規模 | 数万円〜 | 93万円〜 | 数万円〜 | 数万円〜 |
| 月額コスト大規模 | 中程度 | 最安水準 | 高め | 中程度 |
| 本番稼働期間 | 1〜4週間 | 2〜6ヶ月 | 1〜4週間 | 2〜5週間 |
| データ自社管理 | ○(AWSクラウド) | ◎(完全自社) | ○(Azureクラウド) | ○(GCPクラウド) |
| モデルの選択肢 | 25種類以上 | 完全自由 | OpenAI中心 | Gemini中心 |
| ベンダー依存度 | 低い | なし | 高い | 中程度 |
| おすすめ対象 |
AWS利用企業 スモールスタート |
データ主権必須 大量処理企業 |
MS365企業 全企業 |
Google利用企業 全企業 |
※価格はすべて1ドル=155円換算。2026年時点の参考値。
実際の費用は利用量・モデル・設計により大きく変動します。
この2つは「レイヤー(層)」が全く異なるサービスです。
一言でいうと、
Vertex AI = 開発者・技術者向けのAI構築基盤
Gemini Enterprise = ビジネスユーザー向けのAIアシスタントサービス
対象ユーザー: エンジニア・データサイエンティスト・開発チーム
AIアプリケーションを「作る・学習させる・デプロイする」ためのクラウドプラットフォームです。
自社専用AIを一から構築したいときに使います。
できること、
・AIモデルのトレーニング・カスタマイズ(ファインチューニング)
・Gemini・PaLM・Llama等のモデルをAPIで呼び出すアプリ開発
・自社データとAIを連携させるRAGパイプラインの構築
・MLOps(AIの継続的な運用・監視・改善)
料金モデル:従量課金(使った分だけ)、初期費用なし
対象ユーザー: 一般のビジネスパーソン・経営者・営業・総務等
Google Workspace(Gmail・Docs・Sheets・Meet等)に組み込まれたAIアシスタント機能です。
コードを書かなくても使えます。
できること、
・GmailでのAIによるメール下書き・要約
・Google DocsでのAI文書作成・編集支援
・Google Sheetsでのデータ分析・数式自動生成
・Google Meetでの会議リアルタイム要約
・NotebookLMを使った社内資料の質問応答
料金モデル:ユーザー1人あたり月額固定費(Workspace契約に追加)
| 比較項目 | Vertex AI | Gemini Enterprise |
| 対象者 | エンジニア・開発者 | 一般ビジネスユーザー |
| 使い方 | コード・API中心 | GUI操作(ノーコード) |
| 目的 | AI基盤の構築・開発 | 日常業務の効率化 |
| カスタマイズ | 高い(自社専用AI構築可) | 低い(標準機能のみ) |
| データ連携 | 自社DB・社内システムと深く連携 | Google Workspaceの範囲内 |
| 料金 | 従量課金 | ユーザー単位の月額固定 |
| 必要スキル | 技術知識が必要 | 不要 |
経営者・DX担当者への実践的な判断軸
○Gemini Enterprise が向いているケース
Google Workspace を既に使っている会社で、まず社員の日常業務(メール・資料作成・会議)をすぐにAI化したいとき。導入が最速で、ITリテラシーに関わらず全社員がすぐ使える。
○Vertex AI が向いているケース
自社独自のデータを学習させた専用AIを作りたいとき、または既存システムとAIを深く連携させたアプリを開発したいとき。技術チームか専門パートナーが必要。
○両方組み合わせるケース
「まずGemini Enterpriseで全社員の生産性を上げながら、並行してVertex AIで自社専用AIを開発する」という段階的アプローチが最も現実的で多くの企業が採用しています。
[1] Amazon Web Services(AWS)公式ドキュメント
「Amazon Bedrock – Foundation Models」「AWS Savings Plans」
https://aws.amazon.com/bedrock/
[2] Kong Inc.「State of AI Report 2025 / Enterprise AI Report 2025」
※AI導入障壁・企業予算・市場規模のデータ
[3] McKinsey & Company
「The economic potential of generative AI」(2023〜2025年更新版)
※生産性向上効果のデータ
[4] Aimprosoft社「Cost to Host and Scale a Private LLM in 2025」(2025年10月)
※自社ホスト型LLMのコスト試算
[5] TrueFoundry「AWS Bedrock vs Azure AI: Which AI Platform to Choose」(2026年1月)
※プラットフォーム比較・アーキテクチャ解説
[6] Reintech「OpenAI API vs Azure OpenAI vs AWS Bedrock: Enterprise LLM Comparison 2026」
(2026年1月)
※価格比較・企業利用事例
[7] Vantage.sh「Amazon Bedrock vs Azure OpenAI: Pricing Considerations」
※トークン単価の詳細比較
[8] Meta AI公式ドキュメント「Llama Everywhere – Running Meta Llama in the Cloud」
https://www.llama.com/docs/llama-everywhere/
[9] RunPod「What Meta's Latest Llama Release Means for LLM Builders in 2025」
※自社ホスト時のコスト試算(A100 GPU比較)
[10] AI Pricing Master「Self-Hosting AI Models vs API Pricing: Complete Cost Analysis」
(2026年1月)
※ブレークイーブン分析・TCO試算